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施工事例: 屋上防水

打ち放しコンクリート住宅の屋上防水

コンクリート構造物の屋上防水では、目視で判別できない内部の劣化が着工後に発覚することがあります。建物の寿命を左右する下地処理は、予算外を理由に疎かにはできない極めて重要な工程です。

今回の現場でも、実際に着工すると想定以上の下地劣化が見つかりました。そこで、まず状況を画像で詳細にご確認いただき、総予算の最適配分を提案しました。具体的には、耐久性に直接影響しない隣地側の意匠(パターン描き)予算を、急務である屋上防水の下地処理へと充当。追加費用を抑えながら、建物の保護という最も大切な目的に対して的確な処置を施すことができました。こうした透明性の高いプロセスこそが、確かな品質と安心をお届けするために不可欠であると確信しております。

Step1高圧洗浄・既存塗膜の剥離

高圧洗浄を行い状況を確認すると、防水塗膜の下に水が入り込み、想定以上に下地の劣化が進行している箇所が見つかりました。電動工具を用いて既存塗膜を丁寧に剝がし、的確な下地補修を施していきます。

高圧洗浄後

高圧洗浄後

防水塗膜の不具合をカッターで切ってみると水が

防水塗膜の不具合をカッターで切ってみると水が

電動工具により剥がし作業

電動工具により剥がし作業

Step2下地補修

膨れが生じていた塗膜を剥離した箇所に対し、強固な下地を作るための補修作業を行います。

  1. 乾燥(水分の除去):塗膜下に溜まっていた水分を完全に除去し、再膨れを防止します。
  2. ひび割れ補修(シーリング):コンクリート下地のクラックを埋めて、水の浸入経路を遮断します。
  3. 表面を平らにする(カチオン系モルタルによる不陸調整):表面の凹凸を平滑に整え、この後に塗る防水層の密着性を高めます。
下地コンクリートのひび割れをシーリング処理

下地コンクリートのひび割れをシーリング処理

カチオン系フィラーによる不陸調整

カチオン系フィラーによる不陸調整

カチオン系フィラーによる不陸調整(全景)

カチオン系フィラーによる不陸調整(全景)

Step3勾配調整・下地調整

屋上防水において水たまりの解消は極めて重要な課題です。単に凹み部分にモルタルを盛るだけでは別の場所に新たな水たまりを作るリスクがあるため、現場では水糸を張り、緻密な計測を行いながら、広範囲にわたって最適な「勾配調整」を重ねます。

今回は、膨れていた旧防水塗膜を撤去し不陸調整を行った範囲に対し、水が滞留しないよう樹脂モルタルを用いてこの勾配調整を実施しました。続いて、通気緩衝機能を持つ「QVシート」の密着性を高めるため、屋上全体を樹脂モルタルで平滑に整える「下地調整」の工程に入ります。次工程の通気緩衝シートを敷設した段階で、実際に水を撒いて勾配の状況を最終確認します。

糸を貼り樹脂モルタルを盛り勾配調整

糸を貼り樹脂モルタルを盛り勾配調整

全体的に樹脂モルタルの薄塗り

全体的に樹脂モルタルの薄塗り

不陸調整・勾配調整・下地調整完了

不陸調整・勾配調整・下地調整完了

Step4通気緩衝シート敷設

通気緩衝工法とは、防水下地の水分をシート層を通じて脱気筒から外部へ逃がし、防水層の膨れや剥がれを防ぐ高度な技術です。ベランダ等の小面積なら下地を乾燥させて直接防水材を塗布する「密着工法」も可能ですが、広大な屋上では完全な乾燥が困難です。また、密着工法は地震による下地の亀裂で防水層が破断するリスクがあります。通気緩衝シートを介在させれば、湿気による膨れを抑え、地震等の挙動を緩和し長期的に健全な防水層を維持することが可能となります。

  1. プライマー塗布:不陸調整を終えた下地とシートの密着性を高めます。
  2. 通気緩衝シート貼り:防水層の土台となるシートを隙間なく敷設します。
  3. ジョイントテープ処理:シート同士の重なり部分を専用テープで強固に接合します。
  4. 端末MBシート処理:シートの端部(立ち上がり等)を補強シートで入念に処理します。

これで、下地コンクリート内の水分をシートを通じて外部へ効率的に放出するための「通り道」が確保されました。防水層の最大の敵である「蒸気による膨れ」を防ぐ準備が整ったことになります。

通気緩衝シート貼り

通気緩衝シート貼り

ジョイントテープ

ジョイントテープ

MBテープ

MBテープ

Step5脱気筒・ドレンの設置

続いて、雨水を確実に排水するための「改修用ドレン」の設置、および内部の湿気を逃がすための「脱気筒」を取り付けます。これより、いよいよ防水層の本体となる防水材の塗布工程へと移ります。目に見える華やかな仕上げ工程を支えるのは、こうした緻密な下地作りです。

通気緩衝シート敷設完了

通気緩衝シート敷設完了

改修用ドレン取付

改修用ドレン取付

脱気筒取付

脱気筒取付

Step6メッシュ補強・シーリング処理

弊社では「10年保証」という施工品質を確かなものにするため、防水層の弱点となりやすい箇所へ徹底した補強を施します。

  1. 入隅(いりずみ)のシーリング処理:地震により亀裂が生じやすい隅部には、あらかじめシーリング材を充填し、追従性を高めます。
  2. 立ち上がり・ドレン周りのメッシュ補強:複雑な形状の立ち上がり部やドレン周辺には補強布(メッシュ)を伏せ込み、防水層の厚みと強度を均一に確保します。
入隅にはシーリング充填

入隅にはシーリング充填

立上りには補強布(メッシュ)

立上りには補強布(メッシュ)

改修用ドレンとの取り合いは補強布(メッシュ)

改修用ドレンとの取り合いは補強布(メッシュ)

Step7ウレタン防水材の塗布(2回)

高い技術と手間を要する細部への処理を確実に納めた後、いよいよ広範囲の平場(ひらば)へ防水材を流し込む工程に移ります。ウレタン防水において最も重要なのは、規定の「膜厚(まくあつ)」を均一に確保することです。1回の塗布では適正な厚みを出すことが困難なため、弊社では必ず2回に分けてウレタン防水材を流し込み、全体で3mm以上の厚みを確保いたします。この3mmという厚みこそが、長期にわたり建物を浸水から守り、10年保証を裏付ける確かな品質の証となります。液体から強靭なゴム状の防水層へと変化していく過程を、慎重かつ丁寧に見守りながら進めていきます。

ウレタン防水材1回目塗布後

ウレタン防水材1回目塗布後

ウレタン防水材1回目塗布

ウレタン防水材1回目塗布

ウレタン防水材2回目塗布

ウレタン防水材2回目塗布

Step8保護トップコート仕上げ

最終工程として「トップコート」を塗布します。トップコートには、防水主剤(ウレタン等)を紫外線や風雨による劣化から守る「保護膜」としての重要な役割があります。防水層そのものは非常にデリケートな性質を持ちますが、このトップコートを均一かつ入念に施工することで、防水性能を長期にわたって維持することが可能となります。

以上で工事を完遂しました。一つひとつの工程に誠実に向き合い、プロとしての指針を貫くことで、10年保証を自信を持って提供できる高品質な防水工事となりました。

ウレタントップコート

ウレタントップコート

ウレタン防水通気緩衝工法完成

ウレタン防水通気緩衝工法完成

ウレタン防水通気緩衝工法完成

ウレタン防水通気緩衝工法完成

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