ARCHITECTURAL FINISH建築塗装について

鉄部塗装

1ケレン

剥がれかかっている旧塗膜や錆を落とす作業のこと、または、既存塗膜が活膜(新しい塗膜)の場合は密着を強くするための目荒らしをケレンといい、鉄部塗装全般において最も重要な工程といえます。

ケレンと一言で言っても、全体的にサンドペーパーをかける程度や、電動サンダーやタンガロイ工具などケレン専用の工具を使用しなければならないほど錆びている場合もあり、どのような工具を使用し、どの程度行うかが重要といえます。 通常、ケレンの前にケレン時に使用する工具名を付け、下記の用に区別いたします。

ケレンの作業
  • サンドペーパーケレン(手工具)
  • ワイヤーブラシケレン(手工具)
  • サンダーケレン(電動工具)

また、公共工事や大規模修繕工事では、下記のように分類されています。

ケレンの分類
  • 2種ケレン: 電動工具を使用し、錆びている部分はもちろんのこと既存塗膜を全面除去。
  • 3種ケレン: 電動工具を使用し、錆びている塗膜は除去、錆びてない既存塗膜は残す。
  • 4種ケレン: 全体的にサンドペーパーやワイヤーブラシなどの手工具をあてる程度。
  • (1種ケレン)
    サンドブラストまたはショットブラストという機械を使用し、既存塗膜を全面除去し光沢のある表面にするというケレン方法もありますが、建築の現場塗装ではほとんど適応されません。
ケレン工具:左からマジックロン、サンドペーパー、サンダー、ワーヤーブラシ、タガネ、ドライバー

ケレン工具:左からマジックロン、サンドペーパー、サンダー、ワーヤーブラシ、タガネ、ドライバー

サンダーケレン

サンダーケレン

ワイヤーブラシケレン

ワイヤーブラシケレン

POINT

鉄部塗装における耐久性は、どのような錆止め塗料やどのような上塗り塗料で仕上げるかというよりも、この、ケレン工程をどの程度行うかによって、塗装後の耐久性が決定されるといっても過言ではありません。
ゆえに、一口にケレンといっても、どの程度行うかによって、施工における手間(費用)も何倍もの差が出る場合もあります。

鉄部塗装における耐久性

2錆止め処理

鉄部における下塗りの工程です。
錆止め塗料には下記等の種類があります。

錆止め塗料の種類
  • 一般錆止め塗料(ホームセンターなどで入手可能)
  • 鉛丹錆止め塗料(鉛中毒の危険性あり)
  • シアナミド鉛錆止め塗料(建築現場で多く使用)
  • エポキシ樹脂錆止め塗料(一液、二液)
錆止め塗料(一液エポキシ樹脂塗料)

錆止め塗料(一液エポキシ樹脂塗料)

防錆パテ

防錆パテ

錆止め処理

鉛丹錆止塗料に関して言えば、以前は公共工事で指定されていたくらい錆の抑制効果は高いものの、現在では鉛中毒の危険性が指摘されほとんど使用されなくなっております。 また、シアナミド鉛錆止め塗料に関しては、名前には「鉛」と付いているものの現在では鉛フリーのものが普及しております。

DIYなど、塗りやすさという作業性の視点からは一般錆止め塗料やシアナミド鉛錆止め塗料は良いと言えますが、錆の抑制効果や耐久性の視点からはエポキシ樹脂錆止め塗料が最も優れているといえ、その中でも二液型のエポキシ樹脂錆止め塗料が耐久性が強いと言えます。

錆止め塗料

3中塗り

錆止め塗料は、下地に対する密着力や錆の抑制効果は優れているものの、紫外線に対し非常に弱いため、それに対する保護のため上塗り塗料を塗ります。
上塗り塗料は通常2回塗ることによってその効果を発揮することができるので、上塗り1回目の工程を中塗りともいいます。

尚、外壁用の塗料は溶剤系から水性系への移行が進んでおりますが、外部鉄部に関しましては耐久性の観点から使えるとはいえません。
塗料の耐久性は塗料の主成分である「樹脂」により決定されます。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂の順に耐久性が高くなり、同じ樹脂であるならば、一液よりも二液型の塗料が耐久性が強いといえます。

中塗り

合成樹脂塗料の耐久性

4上塗り

中塗りと同様の塗料を塗って仕上がりとなります。

言い替えますと、上塗り材を2回塗ることによって、初めて適正な塗膜厚が確保され、その塗料の耐久性を十分に発揮されることとなります。

要は塗料選定もさることながら、適正な作業工程や塗装工程が耐久性を発揮させる重要な役割となります。

上塗り

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