202003/04
思い出を未来へ繋ぐ「心の蘇生屋」として
築10年の木部あく洗い工事
先月のブログにて、現場ごとに最適な薬品と希釈率を見極めるための「テスト施工(テスト洗い)」の様子をご紹介した木部あく洗い工事。
入念な事前検証を経て最適な薬剤を選定し、いよいよ本日から本格的なあく洗い工程を開始いたしました。
今回ご依頼をいただいたお住まいは、築10年という比較的新しい建物です。しかし、外装・内装ともに木材本来の質感を活かすクリアー仕上げが施されていたものの、ある「深刻な原因」によって、外部の木部がわずか数年で真っ黒に変色してしまっていました。本記事では、木材が急激に劣化してしまった原因の解説とともに、お施主様のご不安を笑顔へと変えていく弊社のあく洗いプロセスの裏側についてご紹介します。
今回施工をお任せいただいたお住まいは、随所に美しい天然木が配されたこだわりの邸宅です。築10年という経過年数にもかかわらず、外部の木部が数年で真っ黒に変色してしまった背景には、新築時の塗料選定に原因がありました。
内装・外装ともに天然木の風合いを活かすクリアーオイルが塗布されていたのですが、その塗料に「紫外線防止効果(UVカット機能)」が含まれていなかったのです。木材は直射日光(紫外線)や雨風に直接晒されると、木質成分(リグニン)が分解され、またたく間に灰色や黒色へと変色(風化)してしまいます。特に外部の木部においては、美観を保つだけでなく、紫外線から木組織を保護する「外装専用の高性能な保護塗料」を選定することが極めて重要となります。
先月のテスト洗いで実証したデータを基に、初日から徹底的なあく洗い(薬品洗浄)を開始いたしました。作業が始まった初日は、真っ黒になってしまった大切な我が家が本当に綺麗になるのだろうかと、お施主様のお母様が非常に心配そうな表情で見守っていらっしゃいました。
木部のあく洗いは、職人の技術力によって仕上がりに天と地ほどの差が出るため、お施主様がご不安になられるのは当然のことです。しかし、段階を追って丁寧に汚れとカビを浮き上がらせて除去し、あく洗いが2日目を迎えた頃、お母様の表情は一変いたしました。
パッと本来の明るい木肌が姿を現した我が家をご覧になり、満面の微笑みを浮かべながら「見違えるように明るくなりましたね」と、大変光栄な喜びのお言葉を直接頂戴することができたのです。
職人として、これ以上ない幸福な瞬間でございます。住まいとは、ただ雨風を凌ぐためだけに建てられた、単なる「居住の器(うつわ)」ではありません。
そこには、ご家族の皆様が共に過ごした日々の息遣いが染み込み、過去の思い出から現在、そしてこれから先の未来へと紡がれていく、かけがえのない特別な時間が流れる場所です。
弊社は、時代やトレンドが変わろうとも、この「塗装」という尊い仕事を通じ、単に建物の表面を綺麗にするだけにとどまらない施工を追求し続けております。
そこに暮らすご家族の心に深く思いを馳せ、大切な歴史が詰まった特別な場を新築時の輝きとともに蘇らせる「思い出の蘇生屋」として、これからも一つひとつの現場に誠実、かつ一分の妥協もなく携わらせていただく所存です。明日からも引き続き、木材の耐久性を高める仕上げ塗装へと工程を進めてまいります。
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