UVプロテクトクリヤー 川崎市

外壁塗装から11年|点検と部分補修

西面の局部劣化を確認

 無機系クリヤー塗装から11年が経過した意匠性サイディング住宅

無機系クリヤー塗装から11年が経過した意匠性サイディング住宅

西日の当たるサイディングに確認されたクリヤー塗膜の剥がれ

西日の当たるサイディングに確認されたクリヤー塗膜の剥がれ

スコッチブライトで無機系クリヤー塗膜を研磨する補修作業

スコッチブライトで無機系クリヤー塗膜を研磨する補修作業

シーリング材の上に塗装したクリヤー塗膜のひび割れ

シーリング材の上に塗装したクリヤー塗膜のひび割れ

2014年塗り替え完了時1

2014年塗り替え完了時1

2014年塗り替え完了時2

2014年塗り替え完了時2

11年前に外壁塗装を施工させていただいたお住まいへ、点検と補修に伺いました。

当初は施工から10年目の点検を予定していましたが、中東情勢の影響による塗料納品の混乱もあり、補修用塗料の準備に時間を要してしまいました。お施主様にはお待ちいただくこととなりましたが、今回、必要な材料をそろえて点検と補修を実施しました。

11年後の外壁

このお住まいは、意匠性サイディングの柄と色彩を生かすため、無機系クリヤー塗料で仕上げています。

クリヤー塗装は、サイディングを塗りつぶさず、既存のデザインを残しながら紫外線や風雨から外壁を保護する塗装方法です。

施工から11年が経過した現在も、外壁全体の95%以上には塗膜の剥がれが見られず、意匠性サイディングの美観が保たれていました。

一方、西日の影響を強く受ける一部の外壁では、無機系クリヤー塗膜の局部的な剥がれが散見されました。

西面だけに発生

今回の剥がれは外壁全体に広がっているのではなく、西日の当たる部分へ集中していました。

その他の大部分で塗膜が健全に保たれていることから、塗料や施工方法に起因する全面的な不具合ではなく、方角や日射条件による局部的な劣化と考えられます。

西面の外壁は、午後の強い日射を長時間受けるため、他の方角よりも表面温度が上昇しやすくなります。強い紫外線に加え、日中の高温と夜間の温度低下が繰り返されることで、塗膜には膨張と収縮による負荷がかかります。

近年は猛暑日や酷暑日が増え、外壁が受ける熱的な負担も以前より厳しくなっている可能性があります。

ただし、塗膜の劣化を地球温暖化だけに断定することはできません。外壁の方角、日射時間、サイディングの色や表面温度、建物周辺の通風など、複数の条件が重なって局部的な剥がれにつながったものと考えています。

研磨して補修

剥がれが確認された部分は、スコッチブライトを使用して研磨しました。

浮きや密着力の低下した塗膜を除去するとともに、既存のクリヤー塗膜へ細かな傷を付け、補修塗料が密着しやすい状態に整えます。

研磨後は粉塵を丁寧に除去し、既存塗膜と同様の無機系クリヤー塗料で補修しました。

部分的な劣化を早い段階で発見できれば、外壁全体を塗り替えず、必要な箇所だけを補修できる場合があります。定期点検は、不具合を確認するだけでなく、建物全体のメンテナンス費用を抑えるうえでも大切です。

シーリングは健全

サイディング目地のシーリング部分では、表面を覆っているクリヤー塗膜に細かなひび割れが見られました。

塗膜とシーリング材では、硬さと伸縮性が異なります。建物の動きに追従してシーリング材が伸縮すると、その上を覆う硬いクリヤー塗膜だけにひび割れが生じることがあります。

今回は、表面のクリヤー塗膜にひび割れが見られたものの、内部のシーリング材には破断や剥離がなく、防水機能を保った健全な状態でした。

表面にひび割れがあるからといって、必ずしもシーリング材そのものが劣化しているとは限りません。塗膜のひび割れなのか、シーリング材の破断なのかを見分けることが重要です。

保証期間と耐久性

今回の点検は、塗膜の保証期間と実際の耐久性について、あらためて考える良い機会となりました。

塗膜保証の期間と、塗料の実際の耐用年数は同じものではありません。

保証期間は、一定の条件のもとで施工会社が責任を負う期間と範囲を定めたものです。一方、実際の耐久性は、使用した塗料だけでなく、外壁の方角、日射量、下地の状態、色、周辺環境などによって変わります。

今回の建物では、施工から11年が経過しても95%以上の塗膜が健全に保たれており、無機系クリヤー塗料の高い耐久性を確認できました。その一方で、西日の影響が強い部分では、周囲より早く局部的な劣化が進んでいました。

高耐久塗料を使用していても、建物のすべての面が同じ速度で劣化するわけではありません。

今後はお客様へ塗料の耐久性や保証期間をご説明する際にも、期待耐用年数だけでなく、方角や日射条件によって部分的な劣化が先行する可能性を、より分かりやすくお伝えする必要があると感じました。

塗装工事は、完成した時点で終わりではありません。

施工後の建物を点検し、実際の経年変化を確認し、必要な補修を行う。そして、そこで得られた知見を次の材料選定や施工、お客様への説明へ生かしていくことも、施工会社の大切な役割だと考えています。