八重山塗膜暴露視察2

日本ペイント宮古島ウェザリングセンター

八重山塗膜暴露視察2

晴れた日は5月であっても30度の宮古島

センター自らがご説明

センター自らがご説明

40000にものぼる試験板

40000にものぼる試験板

信頼できる仲間と共に

信頼できる仲間と共に

 さて、暴露試験場の公的機関である日本ウェザリングテストセンターを後にして、日本ペイントの宮古島ウェザリングセンターを見学させて頂きました。

日本ウェザリングテストセンターが、各企業からの試験体の暴露スペースを提供する施設に対し、日本ペイントのウェザリングセンターは単に暴露状況を観察するにとどまらず、暴露結果を利用し新製品を開発するための施設です。

工業品から車両、そして建築塗装の見本板が40000枚もの試験板を設置することができ、センター内には、分光式測 色計、気象観測機器(日射計、紫外放射計、結露計など)を備え、試験板を管理しているスタッフが常時管理を行っています。

センター長自ら私たちを出迎えて下さり、まずはセンターの概要の説明をして下さいました。

曰く、「宮古島は、世界の暴露試験基準地域とされているフロリダと同程度の緯度に位置し、海洋性亜熱帯気候区高温 多湿型気象条件という、塗膜劣化促進には最高の環境にある。

さらに、同センターは海岸から約100mの距離に あり、塩害による耐食性試験にも適している。

同センターでは、自動車や建物などに塗装される塗料を試験板や塗装実物な どに塗装し、その塗膜が太陽光や雨などの自然環境の下ではどのような要因で、どの程度劣化するのかを調査 する暴露試験を新製品開発のデーターに利用している」とのこと。

暴露試験場という名前ではあるものの、40000枚にも上る試験板にはクロスカットや碁盤目試験の跡があり、紫外線や塩害による暴露状況はもとより付着テストから汚染テストが行われ、製品開発にかける研究者の本気の魂が垣間みえ、試験場というより研究所の如き雰囲気さえあります。

考えてみれば、自社の扱う塗料が耐候性があるかどうかを確認するだけの施工店とは異なり、塗料メーカーにしてみれば、新製品の開発はメーカーとして存続を決定する重要な部門です。

たとえ東京の3倍に紫外線といえども、促進耐候性試験と比較し、時間を要する屋外暴露試験において、定期的の目視で劣化状況を見るだけでは、メーカーとしての存続は不可能と言わざるを得ません。

暴露試験の価値とは、塗料の暴露状況を目視の曖昧な言葉で表現するのではなく、基材との付着性、色差、光沢保持率、汚染度等様々な観点から数値化し、それらの数値の変化が何の要因によるものなのかを導き出し、それをできる限り短期間にまとめ上げ、製品の改良や新製品の開発に応用することに違いありません。

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