202410/15
塗魂2
朝日新聞の記者であり、中小企業の応援団長であり、そして、塗魂ペインターズの応援団である中島隆氏が、塗魂ペインターズの活動と一人一人の人生ドラマに光を当ててくださり、塗魂2を綴ってくださいました。第一章は「命のビザ」の現場永遠にと題し、2017年にリトアニアのカウナスにある杉原千畝記念館の再生の模様を綴ってくださいました。
あらゆるメディアは、限られた範囲内で構成しなければならず、焦点を絞り込む必要性から、どうしても多面的な内容を一側面から表現せざるを得ません。
ドイツの文豪ゲーテは自伝にさえ「詩と真実」(ドイツ語でDichtung und Wahrheit、平易な和訳で嘘と誠)と題し、人間の網膜に映った事実が必ずしも真実とは限らず、真実をゆがめてしまうこともあろうとの認識を示しています。
もとより私自身も全てを綴ることはできませんが、塗魂の皆様と一緒に活動に参加させて頂いていた一人として、わずかであっても実像に迫るべく、一緒に行動していた仲間の真心や行動を綴らせて頂きました。
①すでに日本ではリトアニア行きが決まっていて渡航準備ができている中、実際はリトアニアの文化遺産局から何ら許可が得られておらず、リトアニアに行っても何もできないまま帰国せざるを得ない可能性が大きかった中、プラネットジャパンの平尾社長が現地通訳を雇い、幾度となく交渉を重ねドイツのクライデツァイト社のシリカットペイントを提案し、現地作業の一か月前に作業の許可が得られたこと。そして、材料費用から産廃処分費まで、すべてプラネットジャパン様が負担してくださったこと。
②スギハラハウスの再生の施工の責任者であり、現場の第一線で指揮ととっていた大野隊長の葛藤と責任感
③スギハラハウス再生に許可を得られたシリカットペイントは欧州の重要文化財保護に使用されている特殊な材料で、日本に輸入されていないため、施工直前の緻密な材料管理を要し、精鋭のメンバーが材料管理に携わっていたこと
④親子で参加してくださった黒柳塗装三代目、シングルマザー黒柳友理さんの思いと覚悟(朝日新聞の記事より)
⑤リトアニア渡航前に現地での信頼を得るためにカウナスの学生を受け入れ、共に研修に携わってくださった三興塗料の清水社長の真心研修
⑥同じく、カウナスの学生の受け入れ、平尾社長を塗魂ペインターズに誘ってくださった平尾社長の親友である秩父市の上林塗装の上林猛社長の真心研修
⑦施工完了後、安堵のつつまれカウナスの街を散策、そしてナチスの行った悲惨な歴史に思いを馳せる
あらためまして、このプロジェクトにおいて言及させて頂きたいことは、メディアによる紹介の有無にかかわらず、一人一人が、このボランティアに深い意義を見出し、誰一人例外なく、実質的にプロジェクトの要となる働きをしたこと。
そして、そのひとりの背景には、日本でプロジェクトをの成功を祈り、背中を押してくれた仲間と、家庭を守ってくれていた家族がいたということ。
さらに、彼らにとって、明確なる目的は、メディアに取り上げられることではなく、プロジェクトそれ自体の完遂だったということです。
なぜなら、人生において大切なことは、他人からの評価ではなく、自己の信念に従い、友との絆を深め、背中を押してくれた家族や仲間に感謝の報告をすること。
そして、振り返った時に「楽しかった」「悔いはない」と言えるかどうかだからです。
あらためまして、私心なく、スギハラハウス再生プロジェクトに関わってくださいました地上の星たるお一人お一人に心より感謝申し上げます。